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コーヒーの酸味が嫌いだった私が専門家になるまでの味覚革命ストーリー

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私がコーヒーの酸味を嫌いから好きに変わった転機

正直に告白すると、私は長い間コーヒーの酸味が大の苦手でした。IT企業で働いていた頃、コンビニコーヒーや深煎りの苦いコーヒーばかり飲んでいた私にとって、酸味のあるコーヒーは「酸っぱくて美味しくないもの」という印象しかありませんでした。

運命を変えた一杯との出会い

転機が訪れたのは、29歳の時でした。コーヒー専門学校の授業で、エチオピア産のイルガチェフェ(※柑橘系の明るい酸味で有名な豆)をカッピング(※コーヒーのテイスティング)した瞬間、私の中で何かが変わりました。

最初の一口目は、やはり「酸っぱい」と感じました。しかし、講師の方から「酸味にも種類があり、それぞれに美しい個性がある」と教わり、改めて味わってみると、確かにレモンのような爽やかさと、花のような香りが口の中に広がっていくのを感じたのです。

酸味への理解が深まった決定的な体験

その後、自宅で同じ豆を使って抽出温度を変えて実験してみました。85℃で淹れた時は確かに酸っぱさが際立ちましたが、90℃で淹れた時は酸味が丸くなり、甘みとのバランスが取れた美味しさに変化したのです。

この体験で気づいたのは、「コーヒーの酸味は単なる酸っぱさではなく、フルーツのような甘酸っぱさや、ワインのような複雑な風味を持つ」ということでした。それまで避けていた酸味系のコーヒーが、実は奥深い味わいの世界への入り口だったのです。

今では、朝の一杯に酸味の美しいコーヒーを選ぶことが多くなり、その日の気分や体調に合わせて酸味の種類を使い分けるまでになりました。

酸っぱいコーヒーに悩まされた会社員時代の失敗談

IT企業で働いていた頃の私は、まさに「酸っぱいコーヒーの被害者」でした。朝の通勤途中で購入するコンビニコーヒーや、オフィスの自動販売機で飲むコーヒーが、時々妙に酸っぱく感じることがあったのです。

朝の不快な酸味体験

特に記憶に残っているのは、2019年の梅雨時期の出来事です。いつものようにコンビニで挽きたてコーヒーを購入し、電車内で一口飲んだ瞬間、舌がキュッと縮むような強烈な酸味に襲われました。「これは腐っているのか?」と本気で心配になり、結局ほとんど飲まずに捨ててしまいました。

当時の私は、コーヒーの酸味について全く知識がありませんでした。酸味=劣化や品質不良だと思い込んでいたため、酸味を感じるコーヒーに出会うたびに「ハズレを引いた」と感じていたのです。

オフィスでの酸味トラブル続出

職場でも同様の問題が頻発しました。特に困ったのは、午後2時頃に飲むコーヒーの酸味が異常に強く感じられることでした。朝は普通に飲めていた同じコーヒーが、時間が経つと酸っぱくて飲めなくなる現象に悩まされていました。

今思えば、これは保温による品質劣化と、私自身の味覚の変化が原因だったのですが、当時は「なぜ同じコーヒーなのに味が変わるのか」全く理解できませんでした。同僚に相談しても「そんなに変わらないよ」と言われ、自分の舌がおかしいのかと不安になったこともあります。

この頃の私にとって、コーヒーの酸味は完全に「避けるべき不快な味」でした。しかし、この苦い経験があったからこそ、後にコーヒーの酸味の奥深さを知った時の感動がより大きかったのかもしれません。

コーヒーの酸味とは何か?種類と特徴を実体験で解説

正直に言うと、私がコーヒーの酸味を理解するまでには相当な時間がかかりました。最初の頃は「酸味=酸っぱい=美味しくない」という単純な図式で捉えていたんです。しかし、専門学校で学び、様々な産地の豆を飲み比べるうちに、コーヒーの酸味には実に多様な種類があることを発見しました。

フルーティな酸味と柑橘系酸味の違い

私が最初に「美味しい酸味」だと感じたのは、エチオピア産の豆から感じられるベリー系の酸味でした。これは「フルーティな酸味」と呼ばれ、まるでブルーベリーやストロベリーのような甘酸っぱさが特徴です。一方、グアテマラやコスタリカの豆からは、オレンジやレモンのような「柑橘系の酸味」を感じることができます。

実際に私のスクールで生徒さんに飲み比べをしてもらうと、同じ「酸味」でも全く異なる印象を持たれることが多いんです。特に驚かれるのが、ケニア産の豆から感じられる「ワインのような酸味」。これは赤ワインに含まれるタンニンに似た複雑な酸味で、初めて体験した時は「コーヒーでこんな味が出るのか」と衝撃を受けました。

酸味を左右する科学的要因

コーヒーの酸味は主に、クエン酸、リンゴ酸、酢酸などの有機酸によって構成されています。これらの酸の比率や強さは、豆の品種、栽培地の標高、収穫後の処理方法によって大きく変わります。

酸の種類 特徴 代表的な産地
クエン酸 爽やかで明るい酸味 エチオピア、ケニア
リンゴ酸 フルーティで甘い酸味 コロンビア、グアテマラ
酢酸 シャープで刺激的な酸味 過度な発酵で発生

私の経験では、標高1,500メートル以上の高地で栽培された豆ほど、酸味が際立つ傾向があります。これは昼夜の寒暖差が激しい環境で、豆がゆっくりと成熟するためだと考えられています。

酸味が苦手だった私が試した豆選びの変遷

システムエンジニア時代の私は、コーヒーの酸味が苦手で、毎日缶コーヒーかインスタントで済ませていました。しかし、本格的にコーヒーを学び始めてから、酸味への認識を変えるため、約2年間で50種類以上の豆を試飲しました。その変遷をご紹介します。

初期段階:苦味重視の深煎り豆から開始

最初の半年間は、酸味を避けるためフレンチローストやイタリアンローストなどの深煎り豆ばかり選んでいました。ブラジル・サントス、グアテマラ・アンティグアなど、酸味が少ない産地の豆を中心に10種類ほど試しましたが、どれも似たような苦味ばかりで飽きてしまいました。

転換期:中煎りでの酸味との出会い

転機となったのは、専門学校の講師から勧められたコロンビア・スプレモのシティローストでした。恐る恐る淹れてみると、予想していた刺激的な酸っぱさではなく、オレンジのような爽やかな酸味が感じられました。この体験が、コーヒー酸味への認識を大きく変えるきっかけとなりました。

本格的な探求期:産地別酸味の特徴理解

その後1年間で、酸味の特徴が異なる様々な産地の豆を体系的に試しました。エチオピア・イルガチェフェのベリー系の華やかな酸味、ケニアAAのブラックカラントのような濃厚な酸味、コスタリカ・タラスのシトラス系のクリアな酸味など、それぞれの個性を理解することで、酸味の奥深さに魅了されていきました。現在では、その日の気分や時間帯に合わせて、酸味の種類を使い分けるまでになっています。

淹れ方を変えて酸味をコントロールした実験記録

酸味をコントロールするため、私は同じエチオピア・イルガチェフェ豆を使って、抽出方法による味の変化を1ヶ月間にわたって記録しました。毎朝の出勤前30分を使った実験の結果をご紹介します。

お湯の温度による酸味の変化実験

最初に取り組んだのは、お湯の温度調整でした。同じ豆15gに対して150mlの水で抽出し、温度だけを変えて比較しました。

温度 酸味の強さ(5段階) 味の特徴
95℃ ★★★★★ シャープで刺激的な酸味
88℃ ★★★☆☆ フルーティーで上品な酸味
82℃ ★★☆☆☆ まろやかで甘みが際立つ

挽き目と抽出時間の組み合わせ実験

次に、挽き目(豆の粒度)と抽出時間の関係性を調べました。コーヒー酸味が苦手だった私にとって、この実験が最も効果的でした。

細挽きで2分30秒抽出した場合、酸味が前面に出すぎて飲みにくかったのですが、中粗挽きで4分間じっくり抽出すると、酸味が甘みと調和し、「これなら毎日飲める」と感じる味に変化しました。特に忙しい朝でも、前夜に豆を挽いておけば、朝は注ぐだけで美味しいコーヒーが飲めるようになりました。

この実験を通じて、酸味は「消すもの」ではなく「調整するもの」だと実感しました。同じ豆でも抽出方法次第で、まったく違う表情を見せてくれるのがコーヒーの面白さです。

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